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JASSO東京日本語教育センターでの研究会協議会

今日はこんなものに参加してきました。

日本学生支援機構 東京日本語教育センター
平成26年度「日本語教育機関教員と高等教育機関留学生教育担当者との研究協議会」


名前の通り、日本語教育機関(日本語学校)の先生方や大学の留学生担当の先生方がメインの出席者で、東京日本語教育センターの実践についての報告と関連テーマのご講演がありました。
大学院生って…私以外にどこにいたんだろ。
結構、日本語学校関係の人が団体で参加している感じでした。



*プログラム*
・開会挨拶
・報告 竹田慎吾(東京日本語教育センター)「東京日本語教育センターにおけるICTを活用した協働学習~中東出身アラビア語圏学習者を対象として」
・講演 難波康治(大阪大学国際教育交流センター)「『スマホ時代』の協同教育」
・グループディスカッション、総括、質疑応答
・閉会


以下、私が思ったことや学んだことを(めっちゃ恥ずかしいですけど)書きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
その1.そもそも「ICT」って?

アルファベット3文字の略って、なんだかとっても多いですよね。
CPH(臨界期仮説)とか、ZPD(最近接発達領域)とか。
AKBとかSKEとかHKTとか←

電子媒体を使うんだってことは何となくわかったものの、
報告を聞いてよくわからなくなったので調べてみた。
ICT(Information and Communication Technology)「大学においては、1960年代のカセットテープやビデオなどの視聴覚教材を利用したLL(Language Laboratory)教室の導入に始まり、1980年代にはCAI(Computer-Assisted Intruction)やCMI(Computer-Managed Instruction)などのコンピュータ支援による学習システムが導入されるようになり、1990年代以降はCALL(Computer-Assisted Language Learning)が普及するなど、外国語教育の方法は大きく変化していている。近年では、Moodle、Internet Navigware、WebClass、Blackboard、WebCT、CLEなどの商用やオープンソースのLMS(Language Management System、学習管理システム)の研究・開発が進み、ICTを活用したe-ラーニングの基盤として用いられている。」(井上・伊藤・依田,2013)
調べてみたら、もっといっぱいアルファベット3文字が出てきたヽ(^。^)ノ←

要するに、その時代に存在する技術(道具)、
延いては情報やコミュニケーションツールとして用いられる媒体のことをいうんですね。

・・・きっと世の中では常識の用語なんだろな~((涙



その2.東京日本語教育センターの実践ではどんなICTを使ってた?
今回の報告では「ICTを活用した協同学習」ということで、
以下のようにICTを使っていたようです。

【教材】
・アラビア語と日本語を使った音声対訳教材
・第一言語の習得過程に基づいた教材
【ICT機材・設備】
PPTの自作教材/パソコン/プロジェクター/音源CD/CDプレーヤー/ホワイトボード/スマホ(カメラ機能)

この中で、実際に「協同学習」に使われていたのはホワイトボードスマホ(カメラ機能)
ノート作りを学習者同士で行う、という活動は非常に興味深いものがありました。
ホワイトボードは、その日の学習のまとめノート作りのために
みんなでホワイトボードにノートを完成させるんだそうです。
で、それを写真で撮って(スマホ大活躍)自分のメモ用ノートに張り付ける

アラビア語圏の学習者の学習背景を考慮し、
授業自体の文字学習を後回しにするデザインにしたところ、
「音声だけじゃ見直しができないじゃないか!」などの意見が出たことで
この方法になったのだとか。

教授法の引き出しが小さい私にとって、
こういう報告はとてもためになりますね。
やってみたいなぁ~と思うこともたくさんあります。

ノート作りが苦手な学生って、日本語学習者に限らず本当に多くて、
そもそも「ノート???書かなくね???」的な学生が多いのも事実。
そして、そういう学生ほど授業の内容なんて覚えちゃいない
同じことの繰り返しをするんです。
みんなで共有することで動機や責任感が生まれて、
結果、学習項目を身につけることができるなら、
これはとても良い効果だなと思います。



その3.講演について

阪大の難波先生って、いつだか協働学習の論文を漁ってた時に
e-learning系のタイトルをチラッとお見かけしたことがあって、
今日のご講演をとても楽しみにしていました(^^)

で、今日のご講演で私が一番感じたことといえば・・・

「やべえ、アプリ最強」←


それだけ、と言ってしまえばおしまいなのですが…
正直、ちょっとアプリやwebサイトの宣伝っぽい感じでした。
「先生方も、もっとこういうの使いましょうよ!」的な。
「これ使って、もっと繋がりましょうよ!」的な。

【今時の学生】がスマホ世代で、
学習ストラテジーとしてこういうアプリを使ってるってのは本当に納得。
実際、自分が英語/韓国語学習で使ってきたアプリも紹介されてて。
(Quizlet、lang-8、facebook、line....)
新しいアプリもご紹介いただいて、「やってみよう!」と思うやつもありました。

でも、ちょっと「スマホ活用しようぜ!」に時間がかかっちゃって、
具体的な実践のところはサラサラッといってしまいました・・・
全体的に、学習者の「協同」ではなく
教師の「協同」(繋がり?)を目指したい感じだったのでしょうか。



その4.ICTを使った活動について
グループディスカッションでは、
ある方から「スマホはメイン教材にはならない」というご指摘がありました。
これはご尤もですし、たぶん難波先生もそれはご承知なんじゃないかと思います。

問題は、スマホのアプリを始めとするICTを使ってどのような活動をすることができるか。
それから、どの部分をどんな目的で「協同」にするのかでも、
活用の仕方は変わってきますよね。

今回の場合は、例えば・・・
作文ならonlineで共有すると、みんながチェックできるとか。
ただ、この部分については【課題提出率100%】にこだわりすぎて、
結局学生同士でICTを使って何をしているのかがわかりにくかったです。

一番面白かったのは、学生同士でPVを作るとかでしょうか。
制作過程でどうしても日本語を使って議論をする必要が出てくる、っていうのは
UNSWのCapstoneの研究発表プロジェクトとよく似ているなと思いました。
ご講演の中では、
日本語を使った活動にどこがどう役立つかというのはサラリと流れてしまったのですが、
「日本人向けのPVについて考える」とか「材料を集める」「セリフを考える」
「字幕をつける」「宣伝する」「発表する」というように
日本語を使って活動をする場面はたくさんあります。

ものは使いよう、ってことですかね。
ただ、ICTと「協同」の結びつきが全体的にちょっと薄い気がしたので、
もう少し明確にしていただきたかったです。



その5.課題、心配事
残された課題は、やっぱり情報管理ですよね。
正直、こういったアプリに成績のこととか学習者のことを書く、
というのもちょっと気が引けましたし・・・
(いくら日本語教育会の集まりとはいえ、講演でそれを言っちゃだめでしょ~;;とか←)

無料配信されているものだからこそ、
情報管理はとても慎重にすべきだと思います。
うっかり漏えいでもしたら・・・
授業で使っていただけ、なんて言い訳は通用しない学校全体の問題になりかねません。
そこは、セキュリティのしっかりしたものを使うとか(それでも100%じゃないけど)、
インターネットで共有できるものはなるべく避けるとか、
工夫が必要ですね・・・

まあ、パソコン使ってるだけ、もう無駄か←


それから、これもグループディスカッションでいただいた意見なんですけど、
みんながみんなアプリを使いこなしたり、手に入れたりすることができない、という点。
若者のほぼ全員がスマホを持っている!・・・って、
本当にそうでしょうか・・・?

私たち学生の間でも、スマホユーザーではない、LINE/Facebookユーザーではない、
という人が必ずメンバーの中にはいて、
連絡手段を2つも3つも併用することがよくあります。
ツールが多ければ多いほど、それを使う使わないも枝分かれするもんじゃないでしょうか。

パソコンでも使える、と言われても
スマホよりパソコンのログインってすごく面倒くさいんですよね。
特に学校のパソコンを使ったりしなきゃいけない場合、
いつでもどこでもできるわけじゃないとか、立ち上がりが遅いとか、
個人の端末ではないから、一々ログインしなきゃいけないとか。

学生の人数とか、学校の状況に合わせてうまく併用できるといいですね。
・・・その点、UNSWのMoodleはよく機能してる方だと思いました。
(それでも、100%じゃないけど)




その6.「協同」???ピア?

今日の研究協議会参加者の中で、
そもそも「協同」の捉え方が共有できていなかったと思うんです。

「学習者同士で勉強すること」だったのか、
「教室内のつながりから社会へとつながりを広げること」だったのか・・・
これは大学の先生方からのご指摘をいただいたところで、私もしっくりこなかったところです。
なんだったんだろう、何を言いたかったんだろう、今回の「協同」って。

ちなみに、「協働」じゃなくて「協同」なんだ~、っていうのが
参加前から今に至るまでの私の感想です。
ここで、舘岡先生の本に「協働」について書いてあったのを思い出したので引用します。
Whitmore(2000: 5)は、社会心理学的視点から「協同」を「協同の核となる概念は、合同作業(united labor)や一緒に作業すること」としているが、協働という言葉は使う人によってさまざまな意味の違いがあり、その違いは以下にあげるように、非常にわずかな差によって分けられているとする。

①同調(coordination)としての協同:個々の人間が共通の目的のために協力したり競争したりする状況は全てcoordinationの一種である。

②協調(cooperation)としての協同:明示的あるいは暗示的に共有された目標を達成しようとする意図的な行動であり、次のcollaborationと比べて構成員の成果を同定することが容易である。
③相互介入としての協同(collaboration):coorperationとしての協同ど同様に明示的あるいは暗示的に共有された目標を達成しようとする意図的な行動である。しかし、構成員が相互介入する度合いが高いため、各構成員の成果を同定することが難しい。協同(collaboration)の成果は、構成員が互いに学び合い、その努力による双発的プロセスから生じた結果である。この協同(collaboration)は、協調(cooperation)以上に教育的な効果を生むと考えられており、事例研究では、情意面・認知面・社会面において効果が認められたという。

(舘岡,2005: pp.94-95)
さらに、舘岡先生はこの3つの分類について、③の分類を「参加者が互いに働きかけあいながら協力して創造的な活動を行う」ことから「協働」とし、「教室場面での学習者間の相互作用や互恵性と学習との関係を重視」している。さらに、「上記の①②③を含めて「協同」と呼ぶ」としていることから、「協働」は「協同」の下位概念とされていると言える。

つまり、私の疑問がまず正されなきゃいけないのは、
「「協働」も「協同」のひとつである」ということで、注目すべき点はここではない。



ちょーーーっと口調が固くなりましたが、
日本語教育における「協同」について考えるのならば、
少なくとも舘岡先生が仰るように「教室場面での学習者間の相互作用や互恵性と学習との関係」が重視されているのだと思います。
今日のグループディスカッションでは、
「社会にまで広げ過ぎ」「もっと学習者の相互活動に焦点を当てたものが「協同」なのでは」
というご意見もあったのだけど、こうして改めて考えてみると、
やってることはその通りなんだけど、
発表の方向性が媒体重視になり過ぎてただけなのかな、という気もします。


結局、「教室での活動」は社会に出て活用できなければ意味がないわけです。
ことばは、教室の外での方がたくさん使われているんですから。

だから、「社会にまで広げ過ぎ」というのはちょっと古い考え方(←小声)だと思いますし、
「学習者の相互活動に焦点」を当てすぎるのも、
「協同」のもたらす成果の一部しか見えないことになっちゃうと思います。



日本語学習に関わっているのは、学習者と教師だけではない。

っていうのは、UNSWに行くことになって意識するようになったことで。
学習者の「協働学習」に関わるもの全てが、
あるコミュニティの構成員のひとりとして、
なんらかの役割を果たし、影響を与え合っているんです。
だから、その繋がりや、そこから得られる学びを促進するためのツールとして
ICTが活用できるんじゃないかって話なわけですし。
「つねにつながっている社会」(by難波先生)に生きる学生たちの生活環境やニーズを考えれば、
今回の報告や講演での実践の内容は
学習者の主体性を発揮させるという点で、とても面白い方法なのではないでしょうか。

「協同/協働」は方法論であるだけではなく、
学習者をとりまく環境まで考えないと、なんだか物足りないものになってしまう気がします。
「教室外へと学習者をつなげる」ための「教室内での活動の意義」を見出していきたいですね。

ーーーーーーーーーーーー
というわけで!

長々書きましたが(めっちゃ時間かかった~涙)、
こうやって研究会を振り返るのも楽しいですね。
次回はもっと、積極的にグループディスカッションで発言をしたいと思います!

では・・・


*参考文献
・井上加寿子・伊藤創・依田悠介(2013)「ICT環境を活用した外国語教育の現状と課題ー英語科目と日本語科目における実践報告を中心に―」,『教育総合研究叢書』 (6), pp.21-34 
・舘岡洋子(2005)『ひとりで読むことからピア・リーディングへ―日本語学習者の読解過程と対話的協働学習』,東海大学出版会

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